射法とは

弓を引く場合、ただやみくもに引いていても上手くならないし的に中ることはありません。射法とは実際に弓を引くときに気にかけるべきポイントを抜粋したもののことを言います。そうすることによって自分はどの行程が苦手であるかということが理解できます。古くから弓を射る行為は七つの行程に分けられており、近年ではそれに「残心」(後述)を加えた「射法八節」が一般的に射法の基本となっています。

@足踏み

足踏みとは弓を射る場合、その土台となる胴体をしっかり安定させるために足の幅など調整する行程です。足の幅は大体身長の半分くらいがベストです。身長の大体半分という感覚を体にすり込ませるために高校の時は定規で身長の半分を測り、後述の胴造りと合わせて10分間同じ姿勢で過ごすという辛い練習を行いました。






A胴造り

胴造りは重心を安定させる行程です。知らない人から観ればただ立っているだけに思える姿勢ですが、胴造りは土台造りの最も重要な行程と言えます。体がふらふらしていたら思うように的が狙えません。そうならない為にヘソとお尻に力を入れ、上体を真っ直ぐに安定させます。どれくらい安定させるかというと腰を後ろから押されても重心が動かないくらい安定させなければいけません。






B弓構え

いよいよ弓が動き始めます。この行程ではいくつかの作業を同時に行います。
1.取懸け…取懸けではかけをつけた手で弓のをつかむ作業です。この作業がしっかりできていないと矢を射る際に矢が落ちてしまうなどしてしまいとても危険です。実際に矢がはずれてしまい怪我してしまうこともあります。
2.手の内…手の内とは左手で弓のを正しく握り直す作業です。手の内は後々弓を引き分ける際にとても重要になります。
3.物見…簡単にいえば顔を的に向ける作業ですが、この作業も中途半端だと弦が顔に当たったりしてとても危険です。耳に当たったりこめかみに当たったりして血を見ることになります。僕も高校の時はよく弦が眼鏡に当たって吹っ飛んだりしました。
弓構えではこれらの作業を同時に行います。




C打起し

打起しでは弓構えで構えた弓を肩を基準にして約45度の位置に持ち上げる行程です。一度打起しで上に持って行く理由は後述の引き分けの際にもとの位置から引き分けたのでは力がいり、結果として射形が乱れる、変な筋肉がつくなどの問題が生じるからです。しっかりと打起していないと後々弓道が出来なくなります。遊びでもやめましょう。









D引分け

引分けは打起しで打ち起こした弓を左右に開く行程です。引分けには大三という要素も含まれています。












E会

会は射法八節において最も重要な行程です。ここまでの行程の集大成といえます。両肩を基点として、両肘の働き、左右両腕の張り合い、つまり、両腕を貫通している中筋をもって左右均等に張り合うことが重要です。審査などにおいても会は最も見られる場所です。審査においては主に5秒ほど保つと良いです。